もし課金せずに投資していたら?AIで40年シミュレーションしたら2.4億円超の差が出た話

Train tracks covered in autumn leaves AI活用
Photo by Nicole Moore on Unsplash

「もしあのとき、ソシャゲに500万円を溶かさず、そのまま投資に回していたら、今ごろ自分の資産はどうなっていたんだろう」。AIに40年分のシミュレーションを投げて出てきた数字は、もっとも理想的なルートで2.56億円、もっとも保守的なルートで1,660万円。最大2.4億円超の差でした。

ただし結論を先に書きます。この2.4億円は戒めとして大事に持ちながらも、もう取り戻せません。重要なのは「現状ルート(パターン2)の1.65億円が、月14.39万円積立を続ければ十分目指せる数字である」という事実です。

過去のIFを追うのではなく、未来のリアルを取りに行く。以下、その結論に至るまでに見えた数字と、課金廃人だった管理人が改めて考えたことを共有します。

3パターン資産推移シミュレーション
3パターン資産推移シミュレーション(年利6%想定・40年)

過去の自分が辿った3つのパターン

まず最初に、今回シミュレーションした3つのパターンを整理します。シミュレーション開始時点を起点に、80歳までの40〜44年を計算したものです。

  • パターン1:投資せず・65歳まで働き続けるルート(44年)
    36歳時点の資産530万円から、年70万円ずつコツコツ貯金。利回りはゼロ。投資をしないため65歳まで働き続け、66歳からは年金月10万円のみで生活する想定。生活費(月15万円)との不足分は貯金から取り崩し。年金額は将来の制度不安を考慮して保守的に見積もりました。
  • パターン2:40歳から投資・40年(実際の現状)
    40歳時点で投資資産480万円。新NISAと家計改善で再起したあとの、いまの管理人のリアルなスタート地点。月14.39万円を年利6%で59歳まで積み立て、60歳でリタイア。60〜64歳はiDeCoや投資資産から月15万円ずつ取り崩し、65歳以降は年金に加えて新NISAも取り崩しながら生活する想定。
  • パターン3:36歳から投資・44年(理想)
    もし4年早く、課金にハマる前の36歳時点で同じ480万円を投資に回していたら?というIFルート。月14.39万円・年利6%・運用条件はパターン2と同じ。

つまり、「貯金だけ」「再起後の現状」「もし4年早かったら」の3本立て。この差を見ることで、課金で失った「お金そのもの」より、もっと大きな「時間」の価値が見えてきます。

AIへの指示は自然言語だけだった

このシミュレーション、専用ツールを買ったわけでも、Excelで複利計算式を組んだわけでもありません。やったのは、AIエージェント(Claude Code)に日本語で指示を出しただけです。

「己への戒めも込めて、3パターンでシミュレーションして。①もし課金しないで貯金のまま生活を続けていた場合、②今の現状、③課金前の530万円から家計改善しつつ投資を始めていたIFパターン。実年齢が特定されないように、始めた年はぼかして書いてね」

※補足:シミュレーション内の年齢(40歳起点)は仮置きの数字で、管理人の実年齢ではありません。

これだけで、AIは前提条件を整理して、3パターン分の年次計算をして、比較表を作って、推移グラフまで自動で生成してくれました。コードを管理人が書いた箇所はゼロ。家計簿アプリを開くより手間がかかっていません。

以前書いたAIエージェントで資産管理を自動整理した話のときも感じたのですが、AI活用は「自分の数字に対する解像度」を一気に上げてくれます。投資の自動積立と同じで、面倒な計算を仕組み化することで、感情に左右されずに数字と向き合えるようになりました。

ソシャゲ500万円から、AI月100ドル課金へ

ここで少し過去の話を。詳しくはソシャゲに500万円課金した話に書いていますが、管理人はかつてソシャゲに合計500万円以上を溶かしました。

そんな管理人がいま、毎月100ドル前後をAIエージェント(Claude)に課金しています。同じ「課金」という単語でも、中身はまったく別物です。

  • 過去:強くなる喜びのために、消費される一方の課金。やめた瞬間に何も残らない。メインアカで数十万円かけたコンテンツが、サブアカでほぼ無課金で再現できた瞬間に「ドッと虚無感」が押し寄せた。
  • 現在:家計簿の整理、ライフプラン作成、ブログ運営サポート、資産運用の壁打ち。やめても、整理されたデータと改善された家計と、書き上げた記事は手元に残る。

同じ課金でも、片方は「消費」、もう片方は「投資」。そして今のAI課金は、結果的に投資効率を上げる方向にも効いてくれています。500万円溶かした経験があるからこそ、「これは消費か、投資か」を毎月自分に問い直す癖がつきました。

シミュレーションの前提条件

数字の詳細に入る前に、3パターン共通の前提を整理しておきます。

  • 起点:シミュレーション開始時点(パターン1とパターン3はその4年前から開始)
  • 積立額:月14.39万円(新NISA枠+iDeCo+特定口座のミックス)
  • 運用利回り:年6%(全世界株インデックスの長期実績ベース)
  • 積立期間:59歳まで(60歳以降は追加投資なし/投資パターンのみ)
  • リタイア想定:60歳・生活費月15万円(以降は運用と取り崩しで生活)
  • 60〜64歳の生活費:iDeCoや投資資産から取り崩し(年金は65歳から)
  • 終端:80歳時点の資産で比較

「年利6%」は楽観的な数字ではなく、過去30年以上の世界株インデックスがおおむね収まってきたレンジです。新NISAの基本記事でも触れていますが、長期・分散・積立の3点セットが効いてくる前提です。

衝撃の結果 ― 3パターン比較

では、結果を見ていきます。まずは80歳時点での最終資産。

パターン 内容 80歳時点
パターン1 投資せず65歳まで働く・44年 1,660万円
パターン2 40歳から投資・40年(現状) 16,526万円(約1.65億円)
パターン3 36歳から投資・44年(理想) 25,592万円(約2.56億円)

差額をまとめるとこうなります。

  • パターン3 − パターン2 = +9,067万円(4年早く始めただけの差)
  • パターン2 − パターン1 = +14,866万円(投資への切替えで再起した意義)
  • パターン3 − パターン1 = +23,932万円(約2.4億円)

続いて、節目の年齢ごとに推移を並べたのがこちら。

年齢 パターン1(万円) パターン2(万円) パターン3(万円)
40歳 810 480 1,361
45歳 1,160 1,616 2,796
50歳 1,510 3,136 4,715
55歳 1,860 5,170 7,283
60歳 2,210 7,540 10,367
65歳 2,560 9,105 12,888
70歳 2,260 11,166 16,229
75歳 1,960 13,608 20,383
80歳 1,660 16,526 25,592

表だけだとピンと来づらいかもしれませんが、グラフにするとパターン3が後半でぐっと跳ね上がっていく様子がはっきり見えました。50歳までは差が「数千万円」の世界ですが、60代後半からは「億単位」で景色が変わっていきます。

パターン3 vs パターン2 = 9,067万円の差(複利の威力)

もっとも刺さったのが、パターン3とパターン2の差・9,067万円でした。スタートのタイミングが「4年違うだけ」で、最後の手取りに約1億円の差が出る。これは月の積立額の違いではなく、純粋に運用に回している期間が4年長いだけで生まれている数字です。

40歳時点ですでに、パターン3は1,361万円、パターン2は480万円。この時点で880万円差。これが40年間6%で運用されると、880×1.06^40 ≒ 9,000万円に化けます。複利は、最初の差を年数の指数で増幅していく仕組み。だから「あと4年早ければ」が、80歳時点で1億円近い差になるわけです。

言い換えるとこうなります。

複利の世界では、「いつ始めるか」が「いくら積むか」と同じくらい効く。

過去の管理人が500万円を課金で溶かしたあと、200万円まで沈み、新NISAに到達するまでの空白の数年。あの数年は、お金そのものだけでなく「未来の数千万円」を同時に手放していた、ということになります。

パターン1(貯金のみ)が示す投資の意義

一方、パターン1(投資せず65歳まで働き続けるルート)の場合、65歳リタイア時点では2,560万円あり、よく言われる「老後2,000万円問題」は一応クリアできます。ただし、年金月10万円だけでは生活費(月15万円)に届かず、毎月5万円ずつ貯金を取り崩していく形に。結果として80歳時点では1,660万円まで目減りする計算です。

正直に言えば、これは「65歳まで真面目に働き続けて積み上げた人」の結果です。年70万円を29年間コツコツ貯金しても、利回りゼロのままだと80歳時点で2,000万円にも届かない計算になります。それでも、運用に回さなかったというだけで、投資パターンとは1.5〜2.4億円の差がつきます。

もちろん「貯金だけで安心して暮らせる」という生き方も否定しません。ただ、1,660万円という数字を、パターン2の16,526万円・パターン3の25,592万円と並べてみると、こんなことが見えてきます。

  • 貯金だけ=65歳まで働き続けても、リタイア後は年金月10万円+貯金切り崩しでギリギリの生活。インフレが起きれば実質目減りする。
  • 投資あり=60歳でリタイアしても生活費が足り、医療・介護・趣味・寄付など「使える老後」が成立する。

同じ70万円を出すにしても、貯金で寝かせるか、新NISAで運用に回すかで、ゴールの自由度がまったく違ってきます。「投資はギャンブル」という言葉を一度でも信じてしまうと、44年かけてこの差を背負うことになる。これはマネーフォワードを1年使ってみたレビューを書いたときにも感じた、「見える化されたリアル数字」のこわさです。

過去の自分への手紙(己への戒め)

このシミュレーションを見終わったあと、ふと頭に浮かんだのが、36歳の自分への手紙でした。要約するとこの3つです。

  1. 「強くなれる喜び」は、4年で2.4億円を捨てる対価かもしれない。その瞬間の高揚感は本物だし、否定はしない。ただ、複利の世界では「いま使うお金」と「未来のお金」が地続きにつながっていることだけは知っておいてほしい。
  2. 530万円あるという余裕が、いちばん危ない。「100万円くらいなら大丈夫」と思った瞬間にブレーキが緩む。その100万円が、80歳時点では1,000万円〜2,000万円の価値に化け得る金額だと、AIに計算してもらえばすぐ分かる。
  3. 「いつか始める」は、ほぼ全部「やらない」と同じ。4年早いか遅いかで、最終資産が9,000万円超ズレる。だから「来年から本気出す」は、来年の自分から1年分の複利を盗む行為。

でも――これが今回いちばん書きたかったことなのですが――この手紙を36歳の自分に渡せたとして、おそらく当時の自分は読まないし、読んでも止まらなかっただろうと感じています。

とはいえ、パターン3は手に入らない理想だった

ここがこの記事のいちばん大事なところです。

パターン3(36歳から最適に投資、80歳で2.56億円)は、たしかにシミュレーション上は美しい数字です。でも冷静に振り返ると、これは「もう一人の管理人」が辿ったかもしれない人生であって、いまの管理人がアクセスできた未来ではありません。

なぜなら――

  • 500万円課金で資産が200万円まで減らなかったら、そもそも危機感を持てなかった。
  • 危機感がなければ、リベ大やがまぐち夫婦の動画にもたどり着いていない。
  • 新NISAも「制度が始まったらしいな」で終わっていた可能性が高い。
  • 家計簿アプリも、AIエージェントも、ブログも、たぶん始めていない。

つまり、課金で500万円を失った経験そのものが、いまの月14.39万円積立とAIによる仕組み化を成立させている前提条件でもあるわけです。人間は、痛みなしには簡単に変われない。これが管理人の偽らざる実感です。

だからパターン3は、自戒としては大事に持ちながらも、「取り戻すべきもの」ではなく「これ以上の遅れは作らないためのリマインダー」として置いておく。これがしっくりきます。

そして、いま手元にあるのはパターン2の入口です。月14.39万円・年利6%・40年。80歳時点で1.65億円という数字は、現状の家計と運用方針を維持できれば、現実的に十分目指せるレンジに見えます。もう「強くなれる喜び」のために溶かす月数十万円もないし、AIで毎月家計を点検する仕組みもある。いま手元にある武器は、課金にハマっていた頃よりはるかに多い。

2.4億円の理想を追うのではなく、1.7億円の現状ルートを着実に踏みしめる。それで十分、勝ち筋だと感じています。

まとめ:今日が一番若い日

40年分のシミュレーションを通じて、改めて見えたことを最後に整理します。

  • 4年早く始めるだけで、80歳時点の資産は9,067万円変わる。複利は時間が味方。
  • 貯金だけのパターン1(1,660万円)と、投資ありのパターン2(16,526万円)の差はおよそ1.49億円。投資をするかしないかは、老後の自由度を大きく左右する。
  • 過去の遅れは取り戻せないが、「これからの遅れ」はゼロにできる。今日が一番若い日。
  • 500万円課金の経験は痛かったが、その痛みがなければ今のパターン2スタートにもいなかった。過去の自分を許しつつ、未来の自分への遅延だけは許さない

そしてもう一つ。今回のシミュレーションは、AIに日本語で投げただけで完成しました。専用アプリも、Excel関数も、有料サービスも要りません。手元に資産データがある方は、こちらの記事を参考に、ぜひ自分のリアル数字で40年分を一度シミュレーションしてみてください。「自分にとっての2.4億円」がいくらなのかを知るだけで、毎月の家計と投資への向き合い方が変わるはずです。

管理人にとっての戒めの数字は、2.4億円。あなたにとってのそれが、今日見つかりますように。

AIで自分の資産を整理する方法を見る

タイトルとURLをコピーしました